サブタイトル:新しい契約と、罰の宣告
僕は、定期的に彼女たちと「ゲーム」をする。 ゲームには、絶対のルールがある。
第一条:僕が「イクな」と命令したら、絶対にイッてはならない。 (これは私くらまが行う数少ない命令で一番重くて強い命令です。裏を返せば、これ以外に命令らしい命令はあまりしません)
第二条:どうしてもイキそうになったら、必死に「いってもよろしいですか?」と許可を乞うこと。
第三条:僕が許可すれば、イッてもお仕置きはされない。
このルールだけでも、彼女たちは、命令と快感の狭間で、美しい葛藤を見せてくれる。 だが、今日、僕は、ある彼女のために、新しい「特別条項」を追加してあげることにした。
第一章:悪魔の特別条項
シャワーを浴び、バスローブを羽織った彼女が、少し緊張した面持ちで、僕の前に座っている。 僕は、彼女の髪を優しく撫でながら、穏やかな口調で切り出した。
「今日は、新しいルールを教えてあげる」 彼女は、僕の目を見つめ返し、こくりと唾を飲んだ。
「君は、僕とのゲームで、いつも最後まで必死で頑張ってくれる。そんな君への『ご褒美』として、特別なルールを追加するね」 僕は、できる限り、優しく響くように、言葉を紡ぐ。
「もし、君が、僕の許可なくイッてしまっても。『イッた』と自分で認めなければ、イッてないことにしてあげる」
彼女は、一瞬、きょとんとした。 その言葉の意味を、懸命に、頭の中で反芻しているようだ。 「……え? それって……どういう……」
「簡単なことだよ。君が『イッてません』と言い張る限り、君は『イッてない』ことになる。だから、当然、お仕置きもされない」
その瞬間、彼女の顔が、ぱっと明るくなった。 張り詰めていた緊張の糸が切れ、安堵と、どこか「ズル」を見つけた子供のような、無邪気な笑みが浮かぶ。 (それなら、絶対に負けない) (ただ、我慢して、嘘をつけばいいんだ) 彼女の、そんな浅はかな計算が、手に取るようにわかった。
僕は、そんな彼女に、優しく微笑みかける。 そして、このゲームに、なぜ「お仕置き」が存在するのかを、思い出させてあげることにした。
第二章:罰の宣告
「もちろん、これは、君が僕を完璧に騙し通せたら、という話だ」 僕は、会話のついで、といった軽い調子で、続けた。
「ちなみに、もし君が『イッてしまった』と、自ら認めてしまったら……」
僕は、そこで、言葉を切る。 彼女の顔から、再び、笑みが消えた。
「その時は、ルール違反として、お仕置きね」 「……お仕置き……」
「『広い公園の木陰で、三十分間、ずっと耳を舐められ続ける』。それが、今回のお仕置き」
彼女の顔から、血の気が、さっと引いていくのがわかった。 耳だけで何度も絶頂してしまう彼女にとって、人目のある屋外でのその行為は、想像を絶する羞恥と恐怖だ。もはや、それは「プレイ」の領域を超えている。
「大丈夫。君が『イッてません』と、最後まで嘘をつき続ければ、そんな罰は、受けなくて済むんだから」
僕は、彼女の冷たくなった手を、そっと握ってあげた。 彼女は、もう、何も言えなかった。 ただ、こくこくと、必死に頷くだけ。
(絶対に、ルールを守らなければ) (……ううん、違う) (絶対に、バレてはいけない。何があっても、『イッてない』と言い張らなければ)
彼女の瞳に、先ほどの安堵とは違う、悲壮なまでの「決意」が燃え上がるのを、僕は、確かに確認した。 彼女はまだ、気づいていない。 その「決意」こそが、彼女自身を、最も深い絶望へと誘う、牢獄の入り口なのだということに。
|次の話








