サブタイトル:腋という名の、禁断の聖域
「――それが、君への、罰だ」
彼のささやき声が、私の思考を、純白の静寂で塗りつぶした。 ……脇を、舐める? 嘘だ。だって、そこは。私が、ずっと「一番恥ずかしいから、絶対に嫌だ」と、頑なに拒絶し続けてきた場所なのに。
反論しようにも、声が出ない。 頭の上で固く組まされた両腕は、私のその「聖域」を、あまりにも無防備に、彼の前に晒している。 ああ、そうか。 「今日は、頭の上で拘束するね」 あの、優しい言葉は、このための罠だったんだ。 私が、自分で、この罰の舞台を整えてしまったんだ。
その絶望的な事実に気づいた瞬間、彼の顔が、ゆっくりと、私の脇へと近づいてきた。
第一章:聖域への侵犯
「や……」 やめて、と叫びたかった。 でも、最初に私の肌に触れたのは、彼の舌ではなかった。 ただ、温かい、「はぁー」という息。
それだけだったのに、私の身体は、意思に反して、ビクッと、大きく跳ねてしまった。 普段、トレーニングで鍛え上げ、完璧にコントロールしているはずの、この身体が。たった一息で、いとも簡単に、支配されてしまう。 その事実が、たまらなく、恥ずかしかった。
「まだ何もしてないのに、すごい反応だね」
彼の、楽しそうな声。 そして、ついに、濡れた舌の先端が、私の肌に触れた。 直接、中心を攻めるのではない。その周辺を、まるで聖域の境界線を確かめるかのように、ゆっくりと、しかし執拗に、なぞっていく。
「ひ……ぁ……っ、……やだ、そこ、は……」
懇願する私の声は、喘ぎ声にしか聞こえない。 丁寧すぎる、その刺激。それは、むしろ暴力的な行為よりも、ずっと、ずっと淫らだった。
第二章:溶けていく規律
どれくらいの時間が経っただろう。五分、十分……。 私の頭は、もう正常ではなかった。 目標のためにいつも自分を律してきた心が、彼の舌によって、少しずつ溶かされていくのがわかった。
最初は「屈辱」と「不快感」でいっぱいだったはずなのに。 いつしか、私の意識は、彼の舌が次にどこを訪れるのか、ということだけに、囚われていた。 ピリピリとした、疼くような、今まで感じたことのない種類の快感が、脇から全身へと、まるで毒のように広がっていく。
身体は、もうビクビクと震えっぱなしだ。 その震えを、止めたいのに、止められない。 自分で自分をコントロールできない、この無力感。それが、私の羞恥心をさらに煽り、身体を、より敏感にさせていく。
第三章:不本意な絶頂
十五分が過ぎた、頃だろうか。 それまで周辺だけを攻めていた彼の舌が、ついに、私の脇の、一番敏感な中心点で、素早くしつこい反復動作へと変わった。
「――――――ッ!」
声にならない、悲鳴。 脳が、真っ白に焼き切れる。 ダメだ、こんな、こんな場所で、イくなんて、絶対に、ありえない。 そう思考が絶叫するのと、私の身体が、大きく弧を描いて痙攣したのは、ほぼ、同時だった。
腰が、勝手に浮き上がる。 脚の付け根が、きゅうっと収縮する。 脇から始まった熱の波が、全身を駆け巡り、そして、私のすべてを、不本意な絶頂の渦へと突き落とした。
信じられない。 一番嫌だと思っていた場所で。一番恥ずかしいと思っていた行為で。 私は、イってしまった。
絶頂の余韻の中、涙で滲む視界の先で、彼が、満足そうに微笑んでいるのが見えた。 ああ、私は、彼の罠に、完全に堕とされてしまったのだ。 羞恥と、悔しさと、そして、生まれて初めて知る種類の、背徳的な快感。 そのすべてがぐちゃぐちゃに混ざり合って、私の思考は、もう、完全に停止していた。
(本人が書いたのではなく、本人のインタビューを再構成して執筆しています)








