サブタイトル:椅子に縛られた私の、自由な耳(調教初期)
私の人生で、これほどまでに屈辱的で、これほどまでに胸が震える時間をくれる人は、もう二度と現れないと思う。
今でこそ、私は彼の前で媚びた雌の顔になるけれど。 最初の頃はもちろん怯えもあった。
ただ、彼が私を、ただの「反応するおもちゃ」として扱おうとしているのではないことは、本能的にわかっていた。
第一章:不自由な椅子の記憶
「座って」
初めてその椅子に座らされた時のことを、今でも鮮明に覚えている。 部屋にある低めのテーブル。 手足は縛られていない。 「何をされるんだろう」という不安だけが、心臓を早鐘のように叩いていた。
彼は私の背後に立つと、「痛かったら言ってね」と言い、私の髪を束ねて、ゆっくりとしかし確実に後ろに引いた。
彼の拳は私の背中を少し押し出して、おしりの位置から少し顎を前に突き出したような形で、顔が真上に向けられる。顎下の首は伸び切っている。
「試しに逃げてごらん」
髪を掴まれているというだけで、人間はこんなにも無力になるなんて、知らなかった。
「・・・無理」
第二章:異物としての「音」と「熱」
「逃げられないなら、好きにされちゃうしかないね」
そして、私の耳に、そっと生温かい吐息が吹きかけられる。
「……ひゃっ!」
声にならない声が出る。私は思わず肩をすくめた。 少しの快感とくすぐったさ。ゾワゾワする。
ただの吐息だけで反応するのが恥ずかしい。必死で我慢する。
「こんなので感じたりしないよね?」
私の気持ちを察して、さらに追い込んでくる。このまま数分間、ひたすらに両耳に息を吹きかけられる。ときに暖かく、ときに冷たい息を。
「こんなので感じてビクビクするんだね。手が動くのかわいいね」
ささやき声でも息を当てられる。拘束されていない手の置き場に困る。
背中にもフェザータッチされて、声が出る。
そして、たっぷり数分後。ささやき声とともに、耳にわずかに唇が触れる。
それでも抵抗できない現実。
第三章:刻み込まれる恐怖
「反応するのもっと我慢したら?」
首がつかれた頃を見越して、ベッドに押し倒される。
それでやっと耳刺激から解放されるのかと思ったら、その後も、耳刺激が続けられた。
そもそもこんな長い前戯なんて初めてだった。
前戯ですらないのかもしれない。私の身体を開発しようとしているだけ?
「感じることは続けて良いルールだよね。感じてるから続けるよ?やめないからね」
そう、恥ずかしいことと、感じることは拒絶できないルール。ルールに従って、いたぶられる耳。
「……おねがい、もう、やめて……」
耳でここまで感じてしまうのが、ただ恥ずかしい。耳しか責められてないのに、もう濡れきっている。
涙目で懇願する私を見て、彼はニコニコしている。
「もう少し頑張ろうか」
こうした執拗な責めが、やがて私の脳髄を溶かすのをまだ私は知らなかった。








