サブタイトル:言葉の牢獄と、繰り返される絶頂
「じゃあ、始めようか」 僕は、ベッドに横たわる彼女に、目をまっすぐに見ながら静かに告げる。
「『許可なく勝手にイクな』」
彼女の身体が、ピクリと強張る。 あの「罰」(公園での耳舐め)の恐怖が、彼女の全身の神経を、極限まで研ぎ澄ませているのがわかった。
今日は、特に拘束も、目隠しも選ばない。 今日の彼女は、目に見えない「罰の恐怖」という名の鎖によって、心は拘束されている。
第一章:一時間の、拘束なき前戯
僕は、まず、彼女の耳元に顔を寄せる。 執拗な、寸止め(すんどめ)。息と、唇が触れるか触れないかの刺激だけで、彼女の全身を震え上がらせる。
彼女は、必死に、奥歯を噛み締めて耐えている。 (ここでイッたら、公園で……!) その恐怖が、彼女の理性を、ギリギリで支えている。
僕は、その耳から離れ、一時間以上、ゆっくりと、丁寧に、今度は彼女の全身を愛撫してあげる。 首筋、鎖骨、乳房、そして、脚の付け根。 そのたびに、彼女の身体はビクビクと反応するが、その「最後の一線」だけは、必死に、守り続けている。 それは、まるで、今にも決壊しそうなダムの水位を、必死で睨みつけているかのようだった。
「すごいね。ちゃんと我慢できてるね」 僕がそう褒めてあげると、彼女は、少しだけ、誇らしそうな、安心したような表情で僕を見つめ返した。
第二章:三十分の静止と、最初の嘘
存分に彼女の身体を温めてあげた後(目的としてはしっかり焦らした後)、僕は、彼女の目を、まっすぐに見つめたまま、ゆっくりと、確実に、彼女の奥深くまで、ゆっくりと届かせる。 そして、一番奥に、強く押し当てたまま、動かない。
運命の「当てっぱなし」の時間の、始まり。
最低2分、こうして責める目的があるときには、1時間位上、止めたままにする。
彼女は、命令通り僕の目を見つめながら、必死で一番奥の接触に耐えている。 一時間以上も快感を溜め込まされた彼女の身体が、この静かな刺激に、いつまでも耐えられるはずがなかった。
五分が過ぎた頃だろうか。 僕の目を見つめたまま、彼女の身体が、「ビクッ!」と、大きく跳ねた。 膣が、僕を、ぎゅう、と強く締め付ける。でも動かさない。
いちおう、聞いてみる
「……え、イッた?」
「全然?イッてないよ」
これから何度でも繰り返される。この言葉。
最初は本当にイッてないところからはじめてあげる。
第三章:言葉の牢獄
「ふぅん。イッてないんだ」
僕は、それ以上、何も言わない。 ただ、動きを止めたまま、彼女を見つめ続ける。この状態でも、キスはおねだりを許す。でも、キスすると締まるのがわかってからは、キスも求めなくなった。
彼女は、最初の嘘をつききったことで、ほんの少しだけ、安堵の息を漏らした。
数分後、今度は強い締付けとともに、全身を震わせる。二度目の質問。
「……イッた?」
「……イッて、ません……!」
三度目。
「……イッて、……ません……っ!」
イキ始めるともうとまらない。動いていない僕に、何度も何度もイかされながら、そのたびに、涙目で、僕に「イッてません」と言い続けなければならない。
「イッてません」と彼女が言う以上は、「もう無理です」とは、絶対に言えない。 まだ一度もイッていない(という建前の)人間が、「もう限界だ」と助けを求めることは、論理的に矛盾するからだ。
彼女は、自分を守るための「嘘」。
しかし、その「嘘」は、彼女が「もう許して」と叫ぶ最後の権利を奪う。
彼女は、自らの言葉によって作られた、出口のない牢獄に、完全に閉じ込められた。








