【体験手記】あの夜から、私の身体は私のじゃなくなった

もの想う女性

【体験手記】あの夜のことを、どう言葉にすればいいのだろう

この文章を書くのに、もう一時間が経とうとしています。ただ、あの夜のことを思い出そうとするだけで、呼吸が浅くなり、身体が芯から熱を持ってしまうからです。 恥ずかしさで、頭がぼうっとする。ムラムラしているのとは違う、まるでカフェインを過剰に摂取した時のような、心地よい疲労感と、微かな痺れ。 これが、今の私のすべてです。

正直に言うと、体験する前は、どこか冷静な自分がいました。「官能小説のネタにでもなればいいな」なんて、今思えば、あまりにも浅はかなことを考えていました。でも、違ったのです。あの夜を境に、私の身体は、私の知らない官能を覚えてしまいました。いえ、正確に言うなら、私の知らない「私自身」を発見されてしまった、というべきかもしれません。

まるで、境界がなくなるみたいに

一番、衝撃的だったのは、ただずっと、彼に抱きしめられていただけの時間です。中に彼が入ったまま、動かされるわけでもなく、ただぴったりとくっついて、温かいままでいる。それなのに、身体の境目がなくなるみたいで、めちゃくちゃに気持ちがよかった。

彼の心臓の鼓動が、私の胸に直接響いてくる。私の背中に回された彼の腕の、確かな重み。それだけのことが、どうしてあんなにも安心するのに、同時にどうしようもなく淫らな気持ちにさせるのでしょうか。奥に当てられたまま、自分の意思とは関係なく腰が動いて、イってしまうなんて。そんなの、本当にエロ漫画だけの話だと思っていました。

でも、現実に起こったのです。自分の身体なのに、自分のじゃないみたいに、勝手に感じてしまう。その事実に、どうしようもなく興奮しました。「見てるよ」という彼の静かな声が、私の羞恥心を煽り、さらに身体を正直にさせていく。もう、思考では追いつけない領域でした。

私の知らない、私の身体

「君の描いてた女の子みたいにボロボロでかわいいね」って、彼は言いました。その時、彼の顔がすごく近くて、「まつ毛、長いな……」なんて、どうでもいいことを考えたのを覚えています。それくらい、私の頭はもう正常ではなかったのです。

背中を撫でられるのが、あんなにゾクゾクするものだなんて、知らなかった。特に、肩甲骨のあたり。自分では意識したこともなかった場所を、彼の指先が、まるでそこに眠る何かを呼び覚ますかのように、ゆっくりとなぞる。それだけで、背骨に沿って、甘い電気が駆け上がっていくのです。

耳のふちを、ただなぞられるだけで、身体の奥が疼くなんて。今まで付き合った誰にも、そんな場所を、あんなに丁寧に触られたことはありませんでした。彼の手は、まるで私の身体の地図を、初めから知っていたかのようでした。

そして、自分の声の大きさに、一番驚いたかもしれません。家でしているときは、必死で抑えているつもりだったのに。あの部屋では、もう何も我慢できませんでした。「もうやだ、抜いて!」なんて、後から思い出して死にたくなるようなことまで、叫んでいた気がします。でも、彼はただ笑って「やめないよ」と囁くだけ。その声が、絶望的なのに、なぜか心地よかった。

残された、甘い痺れという名の刻印

あれから、少し困ったことになっています。純粋なエロを、以前のように書けなくなってしまったのです。書こうとすると、あの夜の生々しい感覚が蘇ってきて、羞恥心で筆が止まってしまう。あの熱、あの声、あの視線。すべてが、私の創作の邪魔をするのです。

でも、それは嫌なことではありません。むしろ、私の身体が、本当の快感を知ってしまった証なのだと思います。恥ずかしくて、思い出すだけで疲れてしまうけれど、心のどこかでは、またあの境界がなくなるような感覚に、身を委ねたいと願っている。シャワーを浴びているとき、ふと肩甲骨に触れただけで、あの夜の指先の感触が蘇り、膝から崩れ落ちそうになる。

たぶん、私はもう、後戻りできない場所に来てしまったのです。彼が私の身体に刻んだ、見えないタトゥーは、もう決して消えることはないのでしょうから。

この記事は、過去に私との時間を共有した女性からいただいた感想をもとに、その心情を再構成したものです。

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